IRCTCでアカウントが作れない
2026年9月17日から22日まで、インドのムンバイとナシークにいました(現地5泊6日。帰りは機中泊で、23日の朝に帰国)。この記事は、その旅の連載「ムンバイとナシークの6日間」の1本です(準備の話)。一覧は、記事の下の連載タグからどうぞ。
列車の予約をする前に、まずアカウントが作れませんでした。
インドの鉄道は、IRCTC(インド国鉄の公式の予約サイト)から予約します。ムンバイからナシークという町まで、3人で列車に乗るつもりだったので、出発前に登録を済ませておこうとしました。そこで止まりました。
チケットを買う画面にすら、行けていません。詰まったのは、その手前のアカウント作成でした。
※2026年9月時点の話です。サイトの作りや料金は変わることがあります。
なぜ自分で予約しようとしたのか
インドの列車のチケットは、旅行会社や代行のサイトを通して買うこともできます。手数料がかかりますが、日本語や英語で、ふつうのカードで買えます。手間をかけずに済ませるなら、そちらで十分だったはずです。
それでも公式のサイトから取ろうとしたのは、乗りたかったのがVande Bharat(ヴァンデ・バーラト)という新しい特急だったからです。ムンバイを朝6時20分に出て、ナシークに8時57分に着く。3人並びで座りたかったので、席を指定して取りたい、というのもありました。手数料も嫌でしたけど、やっぱり公式でしょ、というのがあったと思います。大変かなと思っても、公式での列車予約を、きちんとできるところまでやりたかったです。
Unable to perform this transaction
登録のフォームに、名前、メールアドレス、電話番号、住所を入れて、送ります。
出たのは、この一文でした。
Unable to perform this transaction
「この処理は実行できません」。何が悪いのかは、書いてありません。入力し直して、また送る。同じ文が出ます。それが何度も続きました。タイミングの問題かなと思って何度かリトライしたんですけど、同じエラーだったので、これはおかしいなと思いました。
エラーの文面が「何が悪いか」を言ってくれないとき、人はまず自分の入力を疑います。スペルが違うのか。全角が混ざっているのか。電話番号の頭の0は要るのか。ひとつずつ変えて、試す。どれも違う。入力の細部を疑っているあいだは、原因がフォームの前提そのものにあるとは、なかなか思い至りませんでした。
住所の欄が、インドに住んでいる人の形だった
分かったのは、住所の欄が、インド国内の利用者を前提に作られていた、ということでした。
州を選ぶ欄があります。出てくるのは、インドの州の一覧です。東京都は、ありません。郵便番号の欄も、インドの桁数を前提にしています。日本の住所をそのまま入れようとすると、選択肢の側が合わないんですよね。
通したやり方は、選べない欄は「Others」(その他)を選び、それでも埋まらないところは現地の地名で代わりに埋める、というものでした。正しい自分の住所を書く欄ではなくて、フォームが受け取れる値を探して入れる欄でした。国籍の欄では日本を選んでいます。外国人の登録を受け付けている一方で、住所の欄は、国内の形のままでした。
通ったあとも、支払いで続きがあった
フォームが通っても、すぐに予約には進めませんでした。
登録料として、外国の電話番号で登録する場合、確認のための料金がかかります。100ルピーと税。日本円で200円ほどです。認証は、メールと、SMS(携帯のショートメッセージ)の両方に確認の番号が届いて、両方を入力して、ようやく完了です。日本の携帯番号に、インドの鉄道からSMSが届く。当たり前のようで、届くまではけっこう不安です。届かなかったら、ここまでの入力が全部やり直しになるので。
その登録料100ルピーを払うところで、もうひとつ引っかかりました。IRCTCが自前で持っている支払いの方法は、インド国内のカードや銀行口座向けです。日本のカードは通りません。国際カードで払えるのは、外部の決済サービスを経由する、別の入口だけでした。支払いの方法を選ぶ画面で、いくつも並んでいる選択肢の中から、国際カードに対応しているものを見つける必要があります。200円の支払いです。金額は小さいのに、通る入口を見つけるまで、先に進めません。
そうやって、ようやくアカウントができました。なんか、すごい達成感がありました。ここまでで、まだ列車の席は1つも取れていません。予約は、このあとです。切符の書類で確かめると、行きと帰りの2本が取れたのは9月12日でした。インド時間で14時54分と15時17分、23分の差で続けて取っています。日本を発つ5日前です。そして予約でも、また別のエラーが出ました。(それは別の記事に書きます)
あとで聞いた、もうひとつの理由
ここまで、原因を「住所の欄がインド国内の形だった」「支払いの入口が分かれていた」と書いてきました。画面の前で、自分がたどり着いた説明です。
ただ、最終的には、別の事情もあったようです。IRCTCのサイトそのものが、ちょうど新しくなる予定の時期でした。列車の予約がうまく進まなかったのは、それが原因だったらしい。
もしそうなら、私が入力をひとつずつ疑っていた時間のうち、どれだけが、こちらではどうにもならないものだったのか。まじか、と思いました。自分のせいじゃなくてよかった、と少し安心しました。
効いた手は、3つだけ
やったことを並べると、ほとんどが「相手の前提に合わせて、自分の情報を書きかえる」作業でした。住所も、支払いの入口も、こちらが間違っていたわけではありません。サイトの側が、インドに住んでいる人を標準にして作られている。そこに、外から入っていくときの段差でした。
効いた手は、3つです。ひとつは、エラーの文面ではなく、埋まらない欄を疑うこと。「実行できません」としか言われないときは、自分の入力のどこかが、相手の想定していない形になっています。もうひとつは、正しい値ではなく、フォームが受け取れる値を入れること。選択肢にないなら「Others」です。最後は、支払いには国内向けと国際向けで入口が分かれている、と先に知っておくこと。最初に目に入る方法が、自分のカードで通るとは限りません。
逆の立場
日本のサイトにも、同じことがあるはずです。
住所の欄に、都道府県を選ぶプルダウンがある。郵便番号は7桁。電話番号は0から始まる。名前には「フリガナ」の欄がある。日本に住んでいる人には当たり前のフォームが、海外から来た人には、通れない壁になっていることがあると思います。
自分がその壁にぶつかる側になったのは、今回のことでした。海外のサイトはだいたいこうなっている、と、いまなら言えそうな気もします。ただ、次に別の国の予約サイトを開いたときに、同じ3つの手が効くのかどうかは、分かりません。
行く前に知りたかったこと
- 作ったもの:作ったのはIRCTCの予約用アカウントだった
- 費用:かかった費用は登録料100ルピーと税で、日本円にすると200円ほどだった
- 使ったもの:使ったのはIRCTC公式サイトだった
- つまずいた箇所:つまずいたのは、住所の欄がインド国内の住所を前提にしていて東京都が選択肢になかったことと、支払いで国際カードに対応した入口を選択肢の中から探す必要があったことだった
- 初めてでもできるか:エラーは「実行できません」としか表示されず、何が悪いのか分からないまま入力を何度も変えて試す場面があった
- やる前に思っていたこと:電車の予約ぐらいなので簡単でしょう、と思っていたら、e-Visaより取得が大変だった









