ナシークのタンドールの店で、窯の前に行ったのは友人だった
2026年9月17日から22日まで、インドのムンバイとナシークにいました(現地5泊6日。帰りは機中泊で、23日の朝に帰国)。この記事は、その旅の連載「ムンバイとナシークの6日間」の1本です(現地の話)。一覧は、記事の下の連載タグからどうぞ。
2026年9月20日の昼、ナシークの旧市街で、昼ごはんを食べる店を探していました。友人が探していたのは、ただの食堂ではありません。タンドール(壺の形をした、土の窯)が置いてある店です。見つけた店で、友人がひとこと聞きました。すると友人は、窯の前まで入れてもらえました。

9月20日の昼、窯のある店を探した
朝の列車でムンバイからナシークに着いて、10時すぎにホテルに荷物を置きました。そのあと3人で、ゴーダーバリ川という川のほとりを歩いて、そこから旧市街のほうへ上がっていきました。ドゥード・バザールという通りです。ドゥードは牛乳のこと。牛乳の市場、という名前の通りで、肉料理の店も集まっている一帯でした。通りでは、鶏をその場でさばいている店もありました。
友人は、バーベキューを仕事にしています。インドに来た目的は、チキンでした。牛や豚は自信がある。でもチキンは難しい。だから、チキンの焼き方を学びに来た、と。旅のあいだじゅう、友人は窯で焼いたものを追いかけていました。
歩きながら、友人は路面にタンドールを置いている店を探しています。そして、Mughal Darbar(ムガル・ダルバール)という看板を見つけました。「ここに行きましょう」。3人で入りました。この店は、窯が通りから見える場所にありました。
「ムービー、OK?」
友人は、カメラを持って、店の人に聞きました。撮ってもいいですか、と。英語で、短く。OK、と返ってきました。それで友人は、窯の前まで入れてもらえました。
私は、席で待っていました。荷物があるので、見ていなきゃいけなかったからです。
タンドールは、大きな壺を地面に埋めたような形をしています。底に火があって、内側の壁は土。上に口が開いています。友人が撮ってきたのは、職人さんが、こねた生地を手で広げて、窯の内側の壁にぺたっと貼りつけるところでした。投げるような手つきです。壁に貼りついた生地が、そのまま焼けていく。焼きあがったら、先が鉤になった長い鉄の棒で、はがして取り出します。これが、ロティ(薄いパン)でした。肉は、串に刺して、窯の中に吊るすように入れます。動画の中で、友人は何度も「熱い」と言っています。
食べながら、気づいたこと
友人が席に戻ってきて、3人で食べました。焼きたてのロティ、レモンとヨーグルトで漬けこんだチキンのケバブ、タンドリーチキン、カレーのようなもの。友人は、ひと口ごとに焼き方のことを話していました。チキンがとてもやわらかくて、ジューシーで、ぜんぜんぱさついていない。皮のあたりはカリカリで香ばしくて、中は熱々で、しっとりしている、と。
友人のふだんの焼き方は、スパイスを振ったら、マリネにあまり時間をかけず、すぐグリルに入れるのだそうです。120度くらいの低い温度で、1時間半から2時間かける。そうすると、表面に塗ったたれが乾いて、肉と一体になる。タンドールは逆で、ヨーグルトとスパイスにしっかり漬けこんでから、ものすごく高い温度で、短い時間で焼く。漬けこんだたれが乾く前に、焼きあがる。だから、しっとりしている。
窯を見ながら、友人はもうひとつ考察をしていました。土の壁の放つ熱で焼くこの窯では、生地も肉も、火から少し離れたところに置かれている。網の上で火の近くに置くバーベキューと違って、距離があるから焦げにくいのではないか。長く焼けばさすがにぱさつくだろうけれど、しっかりマリネしてあれば、と。
あの店で窯の前まで入れてもらえたのは、友人が聞いたからです。友人には、聞く理由がありました。焼き方を学びに来ているので。
友人は、すごい興奮してました。やっぱりリアルに料理してるところを見るのは、すごい学びがあったようです。
私がひとりだったら、たぶん外から見るだけで、厨房の中まで入ってみたりはしなかったと思います。
夜は、マトンの店へ
その夜、3人で別の店に行きました。Kokni Darbar Mutton Shopという、マトン料理の店です。行く途中でUberが2回キャンセルになって、3回目でようやく乗れました。
頼んだのは、シークカバーブ(串に巻いたマトン)と、マトンコルハプリ(辛い料理として知られているそうです)と、リボティ。この店にも、窯がありました。友人は夜もカメラを回していて、マトンを串にしっかり巻きつけていく手元と、窯でナンを焼いているところを撮っていました。昼に見たのと同じだ、とも言っていました。
作っているところを見に行ったのは、友人だった
旅先での私は、ほとんどの時間、食べる側にいました。列車では車内食が出てきて、店では料理が出てきて、それを受け取って食べる。あの昼、作っている側まで見に行ったのは、友人でした。
友人は、その日の動画の締めくくりで、川に足を浸けたことと並べて、厨房とタンドールを見られたことを、この日の収穫に挙げていました。
正直、行きたかったです。作っている方たちの熱意や技術を目の前で見ることができるし、なかなかできる体験じゃないので。
行く前に知りたかったこと
- 2026年9月、ナシークの旧市街(ドゥード・バザールのあたり)には、通りに面してタンドールを置いている店がありました
- 友人が店の人に英語で短く「撮ってもいいですか」と聞いたら、窯の前まで入れてもらえました(Mughal Darbar)
- タンドールのチキンは、ヨーグルトとスパイスにしっかり漬けこんでから、とても高い温度で短く焼きます。ロティは、窯の内側の壁に生地を貼りつけて焼きます
この旅の友人の動画は、友人のチャンネル「BBQ牧師」(https://www.youtube.com/@pastorsbbq)で公開されています。









